強引な次期社長の熱烈プロポーズ

「じゃあ、せっかくの好意、頂くとするか」

コーヒーを飲み終えて柳瀬はそう言って席を立った。
すっと伝票を持って。
百合香は小走りで追いかけていくと既に会計は済まされてしまっていた。

「ありがとうございましたー」

陽射しが強い時刻の外に出た2人。

「柳瀬さんっコーヒー代払います!」
「別にいいよ」
「だ、だめです」
「じゃあ、」

そういって次に柳瀬は百合香の手を握った。

「?!」
「これで、いいから」


(コーヒー代の代わりが手を繋ぐこと?)


百合香はそのまま手を離すことも出来ずに柳瀬と繋がったまま歩きはじめた。

誰に見られるかもわからないのに。
どうしてこんな風に触れてくるのだろう。
そんなことを考えていたら、やっぱり見透かされたように顔を見られて、

「神野さん、はぐれそうだから」

と柳瀬に一言言われて百合香は、当たってる。と思ってしまった。

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