強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「大丈夫か?」
靴を履いて歩き出そうとした時に後ろから智が追い掛けてきていた。
「はい。明るいお姉さん達ですね」
「と言うか、うるさいだろ···」
いつになく弱気なような、項垂れたような智の姿が百合香は初めてだったので食い入るように智を見た。
いつもであればそんな百合香の視線になどすぐに気づく筈の智はすっかり力が抜けて視線を落としていた。
「…っふ、ふふふ!」
「?」
百合香が急に笑うから智は不思議に思って顔を上げた。
「私の知らなかった智さんを知れて、いい日です」
「···もう百合香もその“家族”の一員になってるんだけど?」
そして二人は一瞬黙ると目を合わせて一緒に笑った。
椿がその一部始終を後ろで見ていたが、二人は気付かずにその場を離れていった。