強引な次期社長の熱烈プロポーズ
百合香が手にしているのは花びらの方のペン。


(あ、なんか手に馴染む。)


そんなことを感じながら百合香は紙にペンを滑らせる。
身近に溢れてる筈の高級なペン。だけど改めて向き合うこともなかったからとても新鮮だ。



「すみませーん」

少し離れた場所から他のお客に呼ばれた店員は、失礼します。と断り、2人から離れていった。


「どう?」
「はい。なんか、いいですね!」
「そう。うちにはないペンだからな。試筆できて良かったな。」
「はい。ありがとうございます。」


夢中になる百合香に柳瀬は目を細めて笑っていた。


「結局、休みでもこうして関係ある場所に興味を持っちゃうんだよな」


百合香が柳瀬の笑顔に見とれた時に、さっきの店員が戻ってきたのでお礼を言って店を後にした。
< 57 / 610 >

この作品をシェア

pagetop