強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「わ。もうこんな時間」

百合香がお店を出て時計を見ると、19時を回っていた。

「こういう店はつい長居しちゃうから」
「あぁ、付き合わせて悪かった」

(そんなつもりで言ったわけじゃないのに・・)

柳瀬はそんな百合香を見て、また笑った。

「また、なにか言いたげだ」

百合香の顔を覗き込んでそう言った。

「私も楽しかったから、大丈夫です!」

膨れるようにそう伝えると、柳瀬が当たり前のように百合香の手を取り、どこへ向かうのか歩きはじめた。


「柳瀬さん?どこへ行くんですか?」
「んー。お腹がなる前に、飯にでも」
「ひ、ひどっ…!」


百合香が昼間の事件を思い出して顔を赤くして恥ずかしがると、柳瀬は宥める様に頭をポンポンと軽く叩いた。


(なんだか今日は今までの私と柳瀬さんじゃないみたい。
会社にいるときよりもずっと近くに感じるし、すごく自然に話せてる気がする。
それは今日はスーツじゃなかったり、こうして手を繋いでいたりするからなのかな。)

すっかり空が暗くなった街はネオンで煌びやかになる。
そんな雰囲気にさらに酔ってしまいそうな百合香だった。

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