特上男子
賑やかやったお店は気づけば更に賑やかになっとった。


お客さんも当たり前ながらみんな大人。


みんないい具合に赤くなっとる中私だけ変化なし。


ジャスミン茶でテンション上がる方が不気味やけどさ。



「智輝さん!?」

『おぉ、真弓(マユミ)じゃん、久しぶり』

「スーツなんて着てるから直ぐには分からなかったですっ!!」



そう言いながら智輝さんにぴったりくっつく女性。


細くて背も高くて、サラサラの髪を揺らしながら楽しそうに笑う真弓さんと呼ばれる女性は、本当に綺麗な人だと思った。


何処かで見たことがある気がする。


そう思いながらも、二人が仲良く話よるとこなんか見たくなくて、私はカウンターの中に目を向けた。


何やらお客さんと盛り上がっとる亮一さんの横顔を意味もなく眺めた。


気にする資格もないのに、全部の神経が耳に集まっとるかの様にこの騒がしい中でも二人の会話が嫌なほどよく聞こえた。







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