特上男子
「1人なんですかぁ?」



甘ったるい猫なで声の真弓さん。


綺麗な人やけんか、その声は同性の私でも可愛いと思ってしまった。


智輝さんの周りには真弓さんみたいに綺麗な人ってたくさんおるっちゃろうね……。



『1人じゃないよ。友達と一緒』

「友達?」



二人の方に顔を向けると、首を傾げとる真弓さんと目が合った。


自信に満ちた目。



『知ってるかもしれないけど念のため紹介するよ。この子は俺のモデル友達の真弓』

「真弓でぇす!!宜しくねっ」

「……志保です。宜しくお願いします」



雑誌で見たことがあるんや……でも、それだけやない様な気がする。


智輝さんの肩に項垂れる様にくっついとる真弓さん。


智輝さんも嫌がっとる素振りはない。


嫌……思わず出そうになった言葉をグッと飲み込んだ。



「撮影終わりで、今みんなでご飯食べに来てるんですけどぉ、智輝さんたちもご一緒に如何ですか?」

『俺たちは遠慮しとくよ』

「えぇー!いいじゃないですかぁ!!VIPルームだからゆっくりできますよ?」



悲しそうな顔で智輝さんを見上げる真弓さんはお世辞抜きに可愛かった。


多分……智輝さんの事が好きなんや。


胸の痛みがどんどん強くなっていく。







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