特上男子
「お待たせぇー」



満足気な顔の凛子を見て思わず笑ってしまった。



「あっ、このワンピいいじゃない」

「試着してみたら?」

「違うよ、志保に似合いそうって事」

「私に!?こんな可愛いらしいワンピ、私が着とったらマジギャグやろ」



花柄のフワッとしたワンピース。


想像しただけで吹き出しそうや。



「着てみてよ」

「着らんでも分かるやろっ!!」

「いいから早く」



出たぁぁぁー!!


この凍りつく様な笑顔。


果たしてこれを笑顔と言っていいんやろうか……。



「ぬあッッ!!」



私はワンピースと共に試着室に放り込まれ、転けそうになるのをなんとか踏ん張り耐えた。


足元にだらしなく置かれたワンピースと鏡に映った自分を何度も見て、激しいため息が漏れた。


着らんと凛子にどつかれそうやし……着るしかないよね……。


一時の恥じやし頑張れ私っっっ!!






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