年上の彼氏。
†呼び出し†

校舎内には限られた生徒しかいなく、静かだった。

あたしは少し離れた別館の校舎に足を踏み入れる。

別館の方は教員室がほとんどだから、生徒は少ない。

「外国語教員室はたしか1番奥だったはず…」


少し歩いた先に外国語教員室と書かれたプレートが付いてるドアを見つけた。


コンコン


「はい」


ドアをノックして、確認すると、中から優しくもちょっと低い声が聞こえてきた。

あたしの心臓はここにきて急に慌ただしくなる。


「天宮寺です」


緊張してるのを悟られないように落ち着いた口調で名前を言った。

すると、待つことなく中から


「どうぞ」


と、宮下先生の返事が聞こえた。

ゆっくりとドアを開け、中に入る。

入った教員室の中は決して広くはないけど、ちゃんと整理整頓されている。

入り口の真正面に窓があり、それに向かうように机が設置されていた。

中にいた宮下先生はイスに座りながらも、あたしの方を振り返りニコッとした。
あ…
この笑顔あたし安心するなぁ…

あたしはその感情に確かな確信を持った。


「すみません。こんな遠くまで来てもらって…」


宮下先生は申し訳なさそうに話す。


「大丈夫です」


この言葉に偽りはなかった。呼ばれた時に自然と心が弾んだから…


「職員室だと話づらいかなと思いまして…」


「なんのことですか?」


あたしはまだ宮下先生の呼び出しの内容がわからなかった。


「とりあえずここに座ってください」


そう言って宮下先生は近くのソファーに誘導してくれた。

あたしは言われるがままにソファーに腰かけた。


「紅茶とコーヒーだったらどっちがいいですか?」


なにやら、ガチャガチャとカップを出している先生はあたしに聞いた。

あたしは焦りながらも紅茶と答えた。


「いつも美味しい紅茶をのんでいるお嬢様にはあまり口に合わないかもしれないけど…」


苦笑いでマグカップを渡してくれる先生。

あたしは一口飲んでみた。

「そんなことないです。とても美味しいです」


そう言ったあたしを見て先生は優しく微笑んだ。



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