年上の彼氏。

―柚留―


「天宮寺さん!その傷どうしたんですか!?」


俺は慌てて天宮寺さんの頬の傷に手をあてた。

すると、天宮寺さんは震えた声で


「あ…あの…」


言葉を詰まらせてる天宮寺さんを遮るように男の子が口を開いた。


「悠姫が俺の言うこと聞かなかったからちょっとお仕置きしてやったんだよ!」

笑いながら言う男の子の口からは悲惨な言葉が出てきた。

残酷すぎる…

これじゃあ、天宮寺さんが怯えるのも無理はない。

俺の中には男の子に対しての怒りが芽生えた。

そして、咄嗟に俺は男の子を睨みながら静かに言った。


「この子は俺の彼女だ。手を出すようなお前が軽々と恋人を名乗っていい人じゃない」


自分でも、言った言葉に驚いたけど、後悔はしていなかった。

男の子は目を見開いて驚いた後、怒りが込み上げた顔で俺に向かって叫んだ。


「ふざけんじゃねぇ!!悠姫は俺から逃げられねぇんだよ!!絶対に認めない」


罵声を浴びせた男の子は俺を睨みながら、去っていった。


俺は去っていったのを確認すると、腕の中に引き寄せてた天宮寺さんの様子を窺った。


「天宮寺さん!大丈夫でしたか!?」


体から少しだけ離した彼女はまだ体を震わせていた。
相当、怖かったんだろう…
俺は何も言わず、また優しく包み込むように抱き寄せた。


「先生…」


顔を俺の胸に埋めていた天宮寺さんが震えた声で呟いた。


「なんですか!?」


俺は焦りながらも、抱き締めたまま聞いた。


「助けてくれてありがとうございました…」


そう告げた天宮寺さんは体を引き離して顔をあげた。
まだ涙目になっている彼女の顔にはまだ赤く傷が付いていた。

無理をしながらも笑顔を見せようとする彼女の頬にそっと手をあてた。


「痛かったですよね…。早く手当てをしないと」


またまたポロポロと天宮寺さんの目から涙が溢れ出た…






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