年上の彼氏。

―柚留―


俺は天宮寺さんをひとまず自分の車に乗せた。

助手席に座らせ、車の中に常備してあった救急箱から絆創膏を取り出し傷に貼った。


「あの…」


傷を手当てしてる間、黙っていた天宮寺さんが口を静かに開いた。

俺は優しく


「なんですか?」


と答えた。

すると、顔を下に下げ俯いた天宮寺さんが


「さっき言ってた彼女って…」


と聞いた。

その言葉を聞いて、俺は忘れてたあの男の子に対しての発言を思い出した。


「あ、あぁっ!すみません、あんな嘘ついて…」


急に恥ずかしくなり顔が熱くなった。

思い返すと、とんでもないこと言っちゃったなぁ…

俺は少し自分の言葉に重大さを感じた。

そんなことを考えてた俺に天宮寺さんは


「いえ、あぁでも言わないと帰ってくれなさそうだったので良かったです…」


俯いたままだったけど、言葉から彼女が本当に困っていたことが感じ取れた…

そう…、もしかしたら、またあの男の子はここに来るかも知れない…

それに、このマンションで1人でいるのは危険すぎる…

そう判断した俺は1つの案を天宮寺さんに提案した。

「天宮寺さん。俺の家に来ませんか?」


その言葉に彼女が驚いた顔をしたのは、言うまでもなかった…





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