年上の彼氏。



「はぁ〜…」


あの後、あたしは数分間お姉様達と撮影会をして、湊と一緒に講堂に向かった。


「いやぁ、俺も困ってたんだよ〜」


そう口にする湊の表情からはそんな感情一切窺えない。

あたしはまた深い溜め息をついた。


「まったく…、今から真面目に仕事してよね!」


あたしはキッ!と鋭い視線を湊に送ると、講堂に入った。


「その視線、そそられるね」


なんて、意味不明な言葉を聞き流しながら…。


**************


『これにて、○○年度卒業式を終了いたします』


ザワザワ…


無事、卒業式も終わり、卒業生は皆別れを惜しんだりハメを外したり騒いでいた。

そんな中、あたしはというと…


「これはこれは!天宮寺様!!」


卒業式ということで各大企業のお偉いさんに捕まってしまったところだった。

あたしは面倒くさいと思いつつも渋々挨拶回りをしている。

はぁ〜、今日はあたし主役じゃないじゃん…

心の中で溜め息をつきつつも得意の営業スマイルを駆使して相手をする。


「いやぁ、あの送辞はさすがでしたね〜」


挨拶回りをしていると、1人のお偉いさんがそんなことを口にした。

そう、今日の送辞はあたしが読んだ。


「いえ、卒業生の皆さんに対しての素直な気持ちを書き表しただけです」


にっこり笑顔で言う。

あ〜、顔が引きつってくる!!

だんだん相手をするのが疲れてきたあたしは心の中で早く帰ってくれないかなって願った。

すると、後ろから…






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