契約の婚約者
猛禽類のようなするどい双眸に捉えられているというのに、どこか包み込むような優しさを感じる。


身体中の血液が逆流しそうだ。


内臓から搾り出されるように、沙希の口から漏れる。


「カタギリさんが欲しい……」


そう思った瞬間、沙希は引き寄せられるように片桐と唇を重ねた。


「カタギリさんがいい。カタギリさんの全部をちょうだい……」


沙希が初めて口にする言葉----


沙希が特定の誰かを欲しいと思うことなど今までなかった。


こんな感情が自分の中にあったんだ、と沙希は驚いた。


優しく名前を呼ぶ声も、触れる指も、唇も全て自分のものにしてしまいたい。


奈央の言うような、甘くかわいい感情じゃない。


本能がこの男を離したくない、欲しいと言っている。


幾度も貪るようなキスを繰り返し、あぁ、やっぱり自分はこの男にはまってしまったのだ、と沙希は実感した。



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