契約の婚約者
「どこに行きたいんだ?」


「海岸線沿いをずーーーーっと走って?」


沙希はご機嫌で片桐の顔を覗き込んだ。


毛を逆立てて懐かなかった猫が手の平を返したように甘えてくる。


いつ何時噛みついてくるか分からないというのに、片桐はこの気まぐれな猫がかわいくて性がないらしい。


「この俺に仕事を休ませるとは……」


「今日くらいいいじゃん?それに、私と結婚するならこれくらい覚悟しなきゃ♪」


「これくらいで大人しく結婚してくれるなら安いもんだ」


片桐はフッと優しい笑みを零し、沙希の手を取り駐車場へと向かった。



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