契約の婚約者
「押し倒されたくなかったら、さっさとベッド行こう……何、もう----」


「枯れた、とか言うなよ?」


「エスパーだね、カタギリさん」


沙希がフッと笑う。


「沙希、誤魔化すな。何があった?」


「わかんない……」


「は?」


「自分が何でこんなにイライラしているのかわかんない……」


片桐は手の拘束を解き、そっと沙希を抱きしめた。


その手はゆっくりと沙希の背をさすり、ポンポンとあやすように頭を撫でる。



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