契約の婚約者
翌朝、沙希は生まれて初めての体験をした。


目を開けると、片桐の顔が自分の目の前にあった。


腕はしっかりと沙希を抱きかかえ、脚は絡まっているので身動きが取れない。


今まで何人もの男と関係を持ってきたが、同じベッドで朝を迎えるのは初めてだった。


片桐も、沙希のマンションに来ても、今まで泊まっていくことはなかった。どんなに遅くなっても必ずタクシーで帰っていったのに。


身体の拘束を解こうとモゾモゾ動くがどうしても離してくれない。


寝ているはずなのに……


静かな寝息を立てているこの男の頬を軽くつねってみる。


以外に柔らかい頬が伸び、つい沙希は噴出してしまう。


「人の顔で遊ぶな……」


不機嫌そうに開いたその目は沙希を視界に捉えると、優しく笑う。



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