Buonanotte!
 僕は、いつものように黒いコートを着て重たい足を無理矢理動かした。



ようやく見つけたドアの前。



この部屋の向こうに亜桃が居る。



鍵がかかっていようが無理矢理こじ開けるさ。





あの約束を覚えてくれているだろうか?

少しの不安と期待で僕の足は軽くなる。













君は此処から出たら何がしたい?



何処に行きたい?




何処にだって連れて行ってあげる。



何処だって付き合おう。



その手を離さないから、サ。










ドアノブに手をかけた。










ふと後ろで誰かの気配を感じた。

















―――ガッ。











鈍い音がして頭に痛みが走った。



















途切れていく意識の中で僕は思った。










ドアに鍵などかかっていないじゃないか。







彼女の笑顔を想った。



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