光輝


惣次郎が来てから早一週間

惣次郎は土方や勝太、門下生とも慣れてきていた


惣次郎は、依然として私を「鈴檎」と呼び続けていた


私はめんどくさいから、「総(ソウ)」とんでいた

随分と略してしまったが、本人は気にしていないようだ

むしろ、名前に檎がふえた私はどういうことなのだろうか



そして、私と惣次郎は毎日のように遊んでいた

惣次郎の稽古が終われば、一緒に土方にいたずらを仕掛けたり、土方がいない日は、門下生にいたずらを仕掛けた


だが、今日は珍しくふたりして縁側で座っていた



「ねぇ、鈴檎はなんで死んじゃったの?」


突然の質問に、答えに困った


「実はさ、死んでないんだ…一応生きてる」


すると、惣次郎はふふっと笑った


「じゃあなんで亡霊なのさ」


「階段から落ちて、頭を見事に打ち付けて、魂だけ抜けてきちゃったの」


「な、なにそれ…ぷっあはははは」


大爆笑する惣次郎を、思いっきり睨み付けた


少し笑いが収まると、涙を浮かべながら、「じゃあ、亡霊じゃなくて生き霊じゃん」といった


「まあ、そんなもんかな」


すると、惣次郎は今度は真面目な顔で言った


「じゃあ、鈴檎の体はどこにあるのさ」


「んー…魂が抜けたまま、腐ってなかったら、紀伊藩にあるよ」


すると、惣次郎は「ふうん」といって、何やら考えていた


少し考えていると、惣次郎は不意に顔をあげた


「じゃあ、鈴檎は当分成仏しないね」


「ま、まぁね」


いきなり変なことゆうやつだな


そんな私をお構い無しに、惣次郎は笑顔で言った


「俺が大人になるまで、成仏しちゃダメだからね?」



その言葉の意味をしるのは、まだまだずっと先の話──────




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