アジアン・プリンス
王宮は主に3つに分かれている。

1番手前は、一般人の見学可能な部分だ。外国人観光客用のツアーにも組み込まれている。美術館や博物館も併設しており、ゆっくり見て回れば、丸1日はかかるだろう。


衛兵が入り口に立ち、警備が厳しくなるのが、国王や皇太子の執務室、国賓用の宿泊室などがあるゾーンだ。

当然、一般人は立ち入り禁止である。

ティナはそこまでの立ち入りを許可されていた。無論、執務室などは立ち入れないが、廊下や中庭などフリーエリアは出入り自由だ。


その中庭を過ぎて、1番奥にあるのが国王の住居、プライベートゾーンである。

現在は主不在のため、ほぼ閉鎖状態だ。たまに、王族に繋がる人間が本島に来た際、挨拶に訪れる程度だった。

それは「国王に目通りし、滞在許可を得る」という形式上のことに過ぎないのだが……。



「まあまあ、クリスティーナ様、お帰りなさいませ。国王陛下にお目通りされましたとか。お疲れ様でございました」


王宮に戻るなり女官長のスザンナ・アライが出迎えてくれた。

今はもう夜の8時に近い。

あのあと、スマルト宮殿の一室に通され、洋服一式を渡された。下着まで揃っており、着替えて部屋から出たときには……。

レイはアサギ島を出発した、と聞かされたのである。


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