アジアン・プリンス
「『アマノイワト』の女神様かな。私が扉の前で踊ってみるべきだろうか?」

「とんでもございません! 殿下がそのような」

「冗談だ」


日本人の血を4分の3持つサトウは、なんでも本気にする。教育係であったせいだろうか、いつまでも彼の目にはレイがティーンエイジャーのように映るのだろう。

彼の息子ニックも、父親同様の堅物で通っている。物心ついたときから常に一緒で、レイより2歳年長であるにも関わらず、英国のイートンカレッジに入学する時にもついてきたくらいだ。

今も王室警護官としてレイの周囲に張り付いている。


「少し考えたい。ひとりにしてくれ」

「しかし……」

「下がっていい」

「かしこまりました」


サトウを下がらせ、レイはひとりになった。


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