アジアン・プリンス
「王立図書館のアドバイザーですって?」

「え? ええ、司書をしているの」

「国立図書館があるのに、更に王立図書館まで? レイもまた……考えるわね」


アンナはクスクス笑っている。


「国立は蔵書が少ない……そんなふうにおっしゃっていたのだけど」

「そうね、たった1000万冊くらいかしら」


ティナは開いた口が塞がらない。アメリカ屈指の議会図書館に匹敵する蔵書で、ティナの勤める図書館のざっと10倍だ。


「ねえ、ティナ。レイはあなたに何か約束した?」

「えっ……あの」

「ああ、いいわ。そうね……『ヤマトナデシコ』との婚約は解消する気かしら?」

「まさかっ!?」


ティナはビックリして大きな声を上げてしまった。


「レイはね、独りでこの国を背負うつもりなのよ。でも、絶対に無理なの」

「そんなこと……彼ならできるわ」

「いいえ無理よ」

「だって、現に今だって、実際のところは彼のおかげだって……色んなところに書いてあったわ」


< 121 / 293 >

この作品をシェア

pagetop