アジアン・プリンス
「クリスティーナ様こそが、皇太子さまをお救い下さる方だと思っていたのですが……」
スザンナは王宮を出るとき、ポツリと呟いた。
ティナは必死で隠しているつもりだったが、スザンナも他の女官も右手のバングルに気づいていたという。そして、ティナこそレイが自分で見つけた花嫁だ、と。
レイは懸命に、そして黙々と、たくさんの責任を負ってきた。
何も成さずに亡くなった前王が残した負の遺産の後始末――。
現国王の放り出した義務――。
歴代のアズル王族が成しえなかったアズウォルドの繁栄と安泰――。
王室最後のプリンスとなり、すべての責任が彼の双肩に掛かっていた。そして悲しいことに、彼自身、自分はそのためだけにこの世に生み出された命だと信じていたのである。
そんなレイがアメリカ人女性を国に連れて帰った。
海外メディアにレイの女性関係が流れることはあったが、彼が母国女性を同伴したのは初めてのこと。しかし、彼女はシン国王の妃候補と噂は流れる。
だが、スザンナをはじめ身近な人間にはレイの浮き足立った様子が手に取るようにわかり……。
レイの望みを叶えてやりたい。今度こそ、彼は彼自身のために努力をするべきだ。周囲の意見は一致し、ティナは予想外にも温かく迎えられたのである。
「それがまさか、婚約者さまがご懐妊などと……。とても信じられません」
確かにそうだ。
レイは不用意に女性と関係するようなことはしない。まるでダイヤモンドでコーティングされたような自制心を持っている。
スザンナは王宮を出るとき、ポツリと呟いた。
ティナは必死で隠しているつもりだったが、スザンナも他の女官も右手のバングルに気づいていたという。そして、ティナこそレイが自分で見つけた花嫁だ、と。
レイは懸命に、そして黙々と、たくさんの責任を負ってきた。
何も成さずに亡くなった前王が残した負の遺産の後始末――。
現国王の放り出した義務――。
歴代のアズル王族が成しえなかったアズウォルドの繁栄と安泰――。
王室最後のプリンスとなり、すべての責任が彼の双肩に掛かっていた。そして悲しいことに、彼自身、自分はそのためだけにこの世に生み出された命だと信じていたのである。
そんなレイがアメリカ人女性を国に連れて帰った。
海外メディアにレイの女性関係が流れることはあったが、彼が母国女性を同伴したのは初めてのこと。しかし、彼女はシン国王の妃候補と噂は流れる。
だが、スザンナをはじめ身近な人間にはレイの浮き足立った様子が手に取るようにわかり……。
レイの望みを叶えてやりたい。今度こそ、彼は彼自身のために努力をするべきだ。周囲の意見は一致し、ティナは予想外にも温かく迎えられたのである。
「それがまさか、婚約者さまがご懐妊などと……。とても信じられません」
確かにそうだ。
レイは不用意に女性と関係するようなことはしない。まるでダイヤモンドでコーティングされたような自制心を持っている。