アジアン・プリンス
「レイも抜き打ちでやってくれたよ。この歳で、いきなりプリンスって言われてもなぁ」


ソーヤは本気で困っているようだ。

だが、スタンライト外務大臣は大喜びだと聞く。カリフォルニアに眠る母に、早速報告に行ったと新聞に書かれてあった。


「でも、こんなおめでたい席に……ルビー王太后もあまりに大人げない」


ソーヤの声がトーンダウンした。

レイの母であるルビー王太后は、帰国しているにもかかわらず、結婚式には参列しない、という。明日、本島で行われる即位の式典と晩餐会にのみ、出席を表明していた。


「仕方がないわ。あの方にとっては憎い相手ですもの。儀礼とはいえ称号まで与えて、しかも、この島は……」

「確かに、“裏切りと罪の島”だからね。しかも、僕の母や僕と同席なんて……認めたくないんだろうな」


ソーヤの言葉にティナは曖昧に微笑んだ。



「それも今日で終わりだ。私たちが、すべてを変えていくんだ」


レイの涼やかな声が控え室に響き渡った。


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