アジアン・プリンス
「ほら、ティナ、君も望んでいる。私たちはもう待つべきじゃない」

「レイ……ずるいわ、こんな」

「ずるくはないさ。わかるだろう? 君を欲しがっている」


ワンピースが捲れ上がり、剥き出しになったティナの太腿にレイの情熱の証が押し当てられる。

それは布越しでもはっきりわかるほど、力強く脈打っていた。 


ティナは彼女自身の下腹部も、甘く疼きはじめるのを感じた。


「ティナ、愛してるよ……マイスウィート」


これまで1度も言ってくれたことのない、甘い愛の囁きだ。

うっとりとしかけたティナの心に、不安が津波となり押し寄せた。


ひょっとしたら、レイはこういった囁きに慣れているのかも知れない。

2ヶ月の節制すら不満に思うほど、これまで頻繁に女性とベッドを共にして来たのだろうか?

それは、ひょっとしたらこのベッドでも……。


思えばアジュール島のコテージで、レイは指だけでティナを満たしてくれた。あの指遣いが女性に慣れていない訳がない。

アジアン・プリンスはホットなアプローチで有名だ、とタブロイド紙にも書いてあった。

ティナにはレイの誠実さしか見えなかったが、海外では羽目を外してきた可能性もあるのだ。


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