アジアン・プリンス
意外な発見に、ティナは思わず声を上げた。


「ああ、そうだったんだわ!」

「どうした?」

「殿下の瞳です。ずっとアトランティコ・ブルーだと思ってたんですけど……このバングルを見て気付きました。殿下の瞳はアズル・ブルーだったんですね」


無邪気な声を上げると、ティナは無意識でバングルに触れた。

そして、


「きっと叶います。あなたがいらっしゃる限り、この太平洋を舞台に再び戦火が起こることはありえません。次の王があなたで、アズウォルドの国民は本当に幸せだわ」


ティナは心の底から感動していたのだ。

アメリカ人の彼女にとって王政には馴染みがない。漠然と、王族=上流階級のトップで、パーティに明け暮れている人種だと思っていた。

だが、この人は違う。理由はわからないが、兄である王のため、王妃を探して回るなど、よほどのことであろう。


ティナは自分の中に湧き上がった感情に素直に身を委ね、バングル越しに彼の手を握り締めたまま、そのアズル・ブルーの瞳を見つめ続けていた。


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