アジアン・プリンス
まず、アズウォルド王国の公用語は英語。日本語は小学校から必須科目になっている。他にも、現地の言葉でアズールイングリッシュと呼ばれるものがあった。それは、英語を単語ごとにキッチリ区切ったような発音で、レイが最初に叫んだ言葉がそうである。

ほとんどの国民が英語と日本語の両方を話せる。

そのせいか、アズウォルドの街並みは、写真や映像で見る日本の都市に趣きが似ていた。ひらがな・カタカナ・漢字・アルファベッド、色んな文字の看板があるせいだろう。



「かなり、開発が進んでるんですね。もっと、ハワイのように自然色豊かな出迎えかと思いました」


幻滅とまではいかないが……アジア東端の王国に、異国ムードを期待していたティナは落胆を隠せない。


「ビジネスゲートに着岸させたからね。ここは国の主要機関や大使館、国際機関の支局などが集中している。初めて公用で訪れる人には、まずここから入ってもらう。なぜなら、できる限り、対等な立場で話し合いを進めたいからだ。このビジネスタウンは“リトルトウキョウ”と呼ばれることもある」


そんな彼らの前に、サッと横付けされたのは日本製のエコカーだった。


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