アジアン・プリンス
しかし、レイはそんなティナの指を強引に引き剥がす。


「そこの……ベンチにタオルが掛けてある。それから、応接間の向かいにゲスト用の寝室がある。君はそこのシャワーを使ってくれ」

「あなたは……来ないの?」

「このまま水から上がるには、不適切な姿だからね」

「自分から、不適切な格好になって飛び込んだくせに」

「そうだ。だが、さっきとは状態が違う。とくに一部分が……君も気づいたと思うが」


レイの指摘にティナは顔を赤らめうつむいた。

水の中で押し付けられたそれは、ティナの太ももが火傷しそうなほどに熱く、高ぶっていた。思い出すだけでティナの息は荒くなる。

例え未来がなくとも、レイともっと親密な時間を過ごしたかった。だがどうすればレイは願いを叶えてくれるのか……男性を誘惑した経験のないティナにはわからない。


「わかったわ。その部屋で、あなたのことを待ってていいかしら? その……不適切なままでも構わないから……来て欲しいの」


ティナは頬を赤らめ、必死に想いを伝える。

そしてタオルを手に、宮殿に向かって駆けて行くのであった。


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