叶わない恋。




「あたしは前から赤井みどりのことは好きじゃなかった。

弱者をいじめて挙げ句の果てには学校をやめさせてさ。



この世の中には弱肉強食という言葉がある。

弱肉強食の意味は


”弱者が強者のえじきとなること”

なんだって。


でも赤井みどりは違うと思うんだ。

自分より弱い者をいじめて日頃溜まったものをぶつけてたんじゃないかな。



いじめるほうにも何か抱えている悩みがある。

その悩みをはらすためにいじめをするんだ。

自分の逃げ場を探してる。」


また言葉を切る夏希。


涙ぐむ生徒もいる。



夏希…お前すげぇよ…。


そんな考え持ってる生徒に出会ったことないよ。

夏希は一度深呼吸してまた続ける。



「言っていいのか分からないけどある噂を耳にした。

赤井みどりの家は親がケンカばかりして離婚も近いらしい。


そういう悩みがあったんだって。

あたしはその悩みを解決させてあげたかった。


でも結局は学校を辞めるという最悪な結果になってしまった。

その責任はあたしにもあるんだ。


赤井みどりとちゃんと話していれば…

って後悔してる。


いじめられてたのにこんなこと言うあたしはおかしいのかもしれない。

いじめはいけないと思うよ?


でも仕方がなかったんだよ。


仕方がないで済ませれる問題ではないかもしれないけど、
あたしはそう思うな。」

最後にニコッと微笑みかけた夏希。



夏希………。



なんでお前はそんなに強いんだ?



仮にもお前を苦しめたヤツだぞ…?


なんでそんな風に思う事ができるんだよ…


なんでだよ……



どうしてなんだよ……




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