叶わない恋。
『じゃあ今日はこれくらいにしとく。
明日も朝練あるから、遅刻しないように。
はい、お疲れ様でした。』
桐ちゃんはそれだけ言ってあたしたちに背を向けた。
「お疲れ様でしたぁ~」
「お疲れ~」
と、あいさつをしながらみんな帰って行く。
だけどあたしだけは着替えずに部室に残った。
そしてみんなが帰ったあと、バットを持ちグラウンドに出た。
もう夕日は沈み、月が顔を出す。
「………………満月かぁ…」
顔を出した月はまん丸の真っ黄色だった。
『あれ?夏希じゃないですか。』
素振りをしていると誰かに声をかけられた。
この喋り方は……