叶わない恋。
なるべく桐ちゃんとの接触を避けて
大ちゃんと一緒にいた。
同じ
”叶わない恋”
をしている同士だから。
それでもあたしを見つめる桐ちゃん。
もし、桐ちゃんに全部言っていたら何かが変わったのかもしれない。
でもあたしには必死で今まで積み上げてきた大きな壁を壊す勇気がなかった。
臆病で、
弱虫で、
強がりで、
それでも必死になって
大人になろうとして
たくさん我慢してきた。
コーヒー飲んで大人に近づいた気がして
自分の感情を押し殺すことが大人で
そう思っていたあたしは誰かに頼るなんてこと、忘れていた。
どこかに置いてきてしまっていたんだ。
そんなことを考えながら渾身の1球を投げた。