叶わない恋。



『俺にはなんでも話してほしい。』


はぁ~とあたしは溜め息をついた。

こうなったら、諦めよう。


全部、話すよ。



「小さい頃、親がいなくて淋しかった。

泣いたら帰って来てくれるんじゃないか、って思って毎日泣いてた。


でも当然、仕事に行ってる親が帰ってくるワケなくてさ。

ただ、いつも兄貴を困らせてた。


泣いても親は帰ってきてくれないんだ、

何も解決しないんだ、

って小さいながらそのことを学んだ。


だったら泣くだけムダだな、とも思った。

確かに泣けばスッキリするかもしれない。


けど、結果は何も変わらないワケじゃん??

だからあたしは泣くことを我慢するようになった。」


桐ちゃんはあたしの長くなりそうな話をうん、と相づちを打ちながら聞いていてくれた。


今日の桐ちゃんは優しすぎる。

いつもあたしと言い争いをしてる桐ちゃんじゃないみたいだよ…。





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