美しいモノを撮りましょう
ナツキはハッキリと言った後、死体があった場所を見た。

「人の命が散るところって、ボクは儚い美しさを感じるなぁ。もちろん元気に生きる姿も力強い美しさがあって好きだけど、死にゆく人の消え去りそうな美しさも好き」

うっとりしながら笑みを浮かべ、語るナツキを、コウガは黙って見ていた。

「…そう。だからあんな写真を撮ったんだ」

「うん。でもサイトに載せたのは失敗だったんだ。おかげで面倒なことに巻き込まれちゃって、参ったよ」

「まっ、これからは気を付けることだね。もう二度と、失敗しないように―」

「だね」

コウガは軽く息を吐くと、ナツキに背を向けた。

「それじゃあ、あんまり女の子が夜に一人で出歩かないようにね。危ないヤツに襲われちゃうよ?」

「それって…そこにいる赤い髪の人のようなヤツに?」

ナツキは歪んだ笑みを、シキに向ける。

「アハハッ。シキは今のところ、大丈夫。オレがいるからね」
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