私の本命
「なぁ、篠崎ってどんな奴?」
「随分と急な質問だな」

内田が篠崎と一緒にいるトコはよく見かける。
最初は付き合ってるのかと思ってた。

「あいつはさ、絶対周りにはいわないけど…正直才能ある奴じゃん!?だけど、あーゆー何でもできる奴って絶対1番にはなれなくてさ。それって実は1番つまんなかったりするんじゃねぇかなーって」

内田の言うコトは解かる気がした。

「あとあいつは、努力して成し遂げるとか、そーゆーのを知らないからさ。努力なしで生きていけるって奴だから。達成感とか無いんだと思うよ?俺だったらうつにでもなっちゃいそうだよ。傍からみたら贅沢な悩みだろーけどな」
「何か部活とかやればいいのに…」
「やってたみたいだよ。小学校でバスケ部。部長だったってさ。でも中学入るのと同時にやめた」
「なんで?」
「ピアノとバスケどっちかにしろって言われてピアノとったんだって。あいつ、それ以来バスケやるの怖いって」
「怖い?」
「あぁ。前より出来ない自分を見るか、意外と出来る自分を見て後悔するかのどっちかだからって」

そーやって1人でいろいろ抱えたまま、冷めた気持ちで過ごしてる篠崎が
俺は気になりはじめていた。

サッカー部連中は、それを恋だって言うけど、
俺は恋なんてしたコトなくて、この気持ちが恋だとは解からないまま、
今日も部活に励んでいた。
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