カレの初恋
燃えている家や、


ひび割れた道路を


車窓から目の当たりにした。


「ウ~!!!ウ~!!!ウ~!!!」
「カンカンカンカン!!!」

消防車のサイレンは
鳴り止まない。



母の運転する車が、
無事に、

目的地である学校へ
たどり着ける様に、と、


俺は、
それだけを

ただ ひたすら
神様に願った。


「ガタッ!ゴゴンっ!!
ガッ、ガダダダダ!!」


いつもは、
なんてことは無く、
まっすぐに走ることが出来る道路の上を、

まるで、
岩山を
強引に走り抜けているかのごとく、

車体を激しく揺らしながら、
母の運転する車は
通過して行った。
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