カレの初恋
「もう~~~!!!
ちょっとッ!ヤメテよ~~~!!!
アタシ、そんなんじゃないのにィ~~~!!!」



自宅の居間のテレビで、
バラエティ番組を点ければ、
オネエタレントの誰かが
映る。


「アハハハッ!!!
あの顔っ!
ほんと、スゴいよね~~~!」


姉は、気楽に笑っていても、
俺は いつも、
素直には笑えなかった。



「男でありながら、
男が好きな人達。」



彼達の立ち位置や、
扱われ方を
目の当たりにすると、

ドキッとする。


自分の中の「秘密」を
言い当てられたみたいで、
顔が引きつってしまうのだ。





村上に対して抱く気持ちは、
一生、
誰にも明かすことはせず、
自分の胸の中だけに
留まらせておこう。



自然と、俺は、
人知れず、そう決意していた。
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