ButterFly











「・・・で ここが・・・」




部長との関係がただの上司と部下じゃなくなってから


1週間が経過していた。





あの夜から 彼は 今まで以上にわたしに仕事を回すようになっていた。




まるであの夜の出来事なんて気にしてないとでも言うかの態度は



わたしの心臓をどんどん苦しめていく。





あの まいって呼んだ声は 幻聴だったのか・・・




・・・ま、第一 彼がわたしの名前なんて知ってるはずがないのだけど。






体を重ねた次の日の朝 隣にあるはずの温もりはなく


わたしの横には1枚の紙切れが残されていた。



そこには 先に行くという 短いメッセージと


携帯番号が書かれていた。




・・・ただ、わたしは その携帯に連絡したことは一度もない。





「おい、水野」





怪訝そうな顏でこちらをみる 部長に思わず肩を上げる。





「聞いてるのか?」




「す、すみません」




怪訝そうに眉を寄せた彼は 書類に目を戻し さっさと 説明を終えると




「ってことだからよろしくな」




と言い 足早に 自分のデスクに戻っていく。




カツン、カツンと彼の革靴の音が遠のいていくたび




触れて欲しくて・・・触れたくて 胸があつくなる。





ムスクの香りが鼻を擽るたび 涙腺が緩む。






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