リサイクルかあちゃん


ある休日の朝、ヤンキーグループの友達と約束していた葉月が出かけようとした時に 「ギャャー」と大声で叫ぶおかあちゃんの声が聞こえる、
ビックリして部屋に行くとおかあちゃんが髪の毛を振り乱し消火器を振り回している。
その横で慌てふためいているおとうちゃんは、
消火器の粉が頭からかかり髪の毛も服も眼鏡も真っ白になってしまっている。
どうやらおかあちゃんが消火器につまづいてしまい噴射して止め方がわからず、 お父ちゃんと大騒ぎになって止めようとしていた様子。
出掛けようと思って派手な服を着ていた葉月にも粉が飛び散り、
3人は、粉まみれになりながら消火器を止めようとした。
真っ白になっている部屋を3人で片付けながら葉月は、
ふとおかあちゃんとおとうちゃんの姿を見て、年老いて行く両親に迷惑ばかりかけている自分の事が情けなくなって来た。
その後、葉月は少し真面目になり、高校を卒業と同時にメーカーの企業に就職する、人並みに恋をするが、男運が悪くて最悪な男とばかり出会い独身生活を送る、 優しかったおとうちゃんも、葉月の花嫁姿を見ることもなく60歳過ぎで他界してしまった。
おとうちゃんが死んでしまい寂しくて悲しい毎日だが、おかあちゃんは皆の前では、 決して泣かなかった、いつでも強いおかあちゃんは葉月の一番大切な人でした。

おかあちゃんと葉月の2人の生活が始まる、一軒家を売って心機一転
新しいマンションで2人暮らしをする。ショッピングや旅行といつも一緒で仲の良い母娘でした。
引越ししたマンションの向いにはボロボロアパートがポッンと建ってある。
おかあちゃんは、基本的に誰とでも仲良くなるのですが、そこに住んでいる一人暮らしのおじいちゃんと知り合い話をするうちに身寄りの無い独居の方で心臓が弱いことがわかる。
おかあちゃんは、そのおじいちゃんに、レトルトのお粥などを差し入れしたりとても、 気にかけていました。
蝉の鳴き声が鳴り響く暑い夏、おじいちゃんは部屋でひとり寂しく孤独死していた。


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