緑の食事風景
外はすっかり暗くなっており、空には細い月が掛かっていた。


土曜の夜らしく、道行く人が皆、何となく楽しそうな様子である。


これから女子会でもするのか、賑やかな女性のグループ。

ほろ酔いで機嫌が良さそうなサラリーマン風の男性。

デート中のカップル。


それらの人達の間を抜けて、きっと葬式か何かの帰りのような面持ちで、私達は家路についた。



別れ際、同僚がもう一度念を押すように言った。


「お母さんに、会ってあげてくださいね。

親子なのに病気になっても離ればなれじゃ、かわいそうですよ」


「はぁ……」


おやすみなさい、を言い合ってから、同僚は細い脇道へ曲がり、私はそのまま大通りを真っ直ぐ歩いて、とぼとぼと自宅へ帰り着いた。
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