緑の食事風景
憶測
その後、何度も両親から連絡があった。



父からは主に、母の病状について聞かされた。


本当は「また見舞いに来い」と言いたかったのかもしれない。


母の病状に興味が無かった私は、やがて父からの電話に出なくなり、すると父から電話が来る事も無くなっていった。



母は、病院の周りで見付けた草花とか夕焼けとか

そんなものを携帯電話で撮影しては、画像を送ってきた。


冬になると、窓から撮ったと思われる雪景色なども送られてくるようになったが、私はいつものように、それらを無視し続けた。


体に気を付けるように。とか、仕事を頑張れ。といった類いのメッセージが添えられる事はあっても

また見舞いに来い、とは一度も言われなかった。
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