赤い林檎





「………ちょ…離せよっ…」

「え、仲悪そうだけど…?」

「え~、けど握手したし?」


ね~?と同意を求めるように瑠色の頬に郁真が擦り寄る。


──ビクッ…


まさかそう出ると思ってなかったから、いきなりの事に肩が上がる。

肩が上がった自分が恥ずかしくなり、顔に熱が集まるのを感じ、それを隠すように俯いた。。


「……え、なにこれ。」

と、今まで爽やかな微笑みを撒き散らしていたのに、目を見開き驚いた顔のイケメンくん。


「どしたぁ?」


不思議そうな郁真同様に、瑠色も首を傾げ長身のイケメンくんを見上げる。


「…っ!…無自覚って怖いな」


と、苦笑いでよしよしと瑠色の頭を撫でた。


「………子供扱いすんなよ、イケメンくん」

「「……イケメンくん?」」


郁真とイケメンくんの声が重なる。


や、やってしまったー!

思わず頭のなかでのあだ名で呼んでしまった。


イケメンくんの横では美宇が肩を震わせている。

もー!笑うとかひどい!


「…ちょ、み「ルーチャン、おもしろすぎ」」


ぱっと郁真は瑠色を離し、あははとお腹を抱えて笑い始めた。


「…俺、そんなストレートに言われたの初めてだわ」


嘘苦手そうだな、と笑顔を見せるイケメンくんは本当にイケメンだった。


てか瑠色、郁真にルーチャンってあだ名つけられてるよ…





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