優等生な彼vs不真面目な彼




2人で静かな廊下を歩く




何考えてるのか全然分かんない新田君の背中は


いつものふざけた彼とは別人みたいで


幻でも見てるんじゃないかな・・・なんて思ってしまう




同じなのに同じじゃない猫背に

何もいえないまま屋上にたどり着いた



「・・・・・・新田君?」



冷たい空気にちょっと気持ちが覚醒して

やっとのことで搾り出した声はびっくりするくらい震えてて


『・・・何でそんなに震えてんの(笑)』って

笑われると思ってたのに

新田君の目はいつもと違って、恐くて優しかった




すっ・・・て伸びてきた彼の手が

あたしの前髪をすくって目元に触れる


風よりずっと冷たい新田君の手に、ちょっと・・・びっくり




和「・・・目」

「・・・・・・え?」

和「泣いたの?」

「・・・っ、」



突然の問いに焦って言葉を飲み込む



和「・・・何したの?」

「なに、って・・・」

和「俺、なんかした?」



『なんかした?』って・・・

なんでそんなこと聞くの?


・・・なんで分かんないのよ



「・・・何もしてないよ。新田君には関係ない」

和「・・・嘘だろ」

「・・・・・・は?」

和「見りゃわかるっつの」

「・・・じゃ、『なんで?』なんて聞かないでよ!それくらい分かってよ!!」

和「・・・・・・」



・・・何言ってんだ、あたし

新田君が分かるわけないじゃんか


心の中では分かってるのに、それでも歯止めがきかない



「・・・翔君は、分かってくれたもん」

和「・・・・・・は?」



比べてどうすんのよ




和「・・・なに、あんた。桜川のこと好きなの?」

「好きだよっ!?・・・少なくとも、新田君の100倍大好き!!」



後悔した時にはもう遅かった


目の前の新田君の眉間にどんどん皺が寄っていく




和「・・・そーかよ。じゃ、桜川と付き合えば?」

「あ、・・・にったくっ・・・」

和「お似合いなんじゃない?おめでとさん」

「・・・っあたし、ごめ・・・・・・」




あたしが呼んだっておかまいなしに背を向けて


屋上の扉をこれでもかってくらいに力任せに閉めて







彼の猫背が見えなくなった















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