シャボン玉の遠足
窓から、初夏の風が入ってくる。



この季節にしたら、心地よい風だ。



俺が、一人感慨深く思い出に浸っていたら、周囲は、早速パート練習をはじめていた。



「アアアアアァ―――」



俺は、あわてて渡された楽譜に目を通し、むさ苦しい男の輪に入った。



ここは、田舎の県立赤山高校。



クーラーなどあるはずもなく、みんな右手に楽譜、左手に団扇らしきものを持って、精一杯声を張り上げていた。



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