英国喜劇リトレイス


「俺たちも行こう」

「ああ!!」




そう、兄貴の背中に一歩踏み出した時だった。


――… … ――


「なんだ?」

耳の奥で、何かが響いた。


周りには、何もない。


「ま、いっか」


気にもせずに足を前に出す。


その音が、時計の針を示すとは俺はまだ知らないままに。

まるで気づかれず、その針は、ひとつ進んだことを。


< 212 / 409 >

この作品をシェア

pagetop