英国喜劇リトレイス


そして――

寝袋に入って意識が落ちた時、俺はまた巨大な時計の前に立っていた。


針は―――


「……なんでだよ」

声が、視界が足が、揺れる。

「力は使ってないのに、何でっ?」


あと僅かで、一周を終えようとしていた。


「――フフフッ!」

「誰だッ!!」

霧のなか周りを探すと、もう一度笑い声が聞こえた。

上だ。

時計の上、12時の辺りに足をプラプラさせて誰かが座っている。

「……あとちょっと、だね…ククク」


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