英国喜劇リトレイス
「――!」
確かに……今、目が合った。
しかし俺が何かを言う前に彼女はフイと前を向いた。
「あ…、おい……」
「判決を!!」
誰かの叫びが響いた瞬間、全ての音が戻ってきた。
人々は叫び、盛り上がりは最高潮に達する。
この場の裁判長の声が朗々と響いた。
「――処刑!! 執行は明日とする!」
人から歓声が上がる。
拳を上げて喜ぶ者もいた。
ただ一人、魔女だけが静かに俺に背中を向けていた。
俺はどうしてか、彼女から目を離せないでいた。