「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
調査隊
今より三年前の二月四日
アメリカのフロリダにある宇宙船発射センターは華やかな空気に包まれていた。

雲は少々浮かんでいるが、よく晴れた朝で、気温がフロリダとしては少し低かったが、宇宙船の発射には申し分のない日和である。

まもなく冥王星調査隊の出発である。

七年前、宏たち多数が犠牲になった大惨事を乗り越え、人類は今、木星の衛星や土星の衛星に多数の調査船を派遣している。

木星の衛星エウロパには観測用の宇宙ステーションも完成し、土星の衛星タイタンにも宇宙ステーション建設の計画が進んでいる。

火星入植地の数は百ヶ所に達しようとしており、火星基地で働く人々も含めると、人口は二万人を優に超えている。

入植地の建設は急ピッチに進められ、このままいくと二、三年後には、火星人口は五万人を突破する勢いである。

世界中の人々が宇宙開発に夢と希望を抱き、明るい未来に向かって進んでいた。

今回の冥王星調査隊の出発は、人々にとって二十五年前の月面開拓、十数年前の火星入植地建設の始まり、七年前の木星の衛星調査隊や、その翌年タイタン観測用に発射された調査船以来、久し振りの大イベントであり、新しい発見の期待に満ち溢れていた。

人類にとって第二の大航海時代の到来に、喜びと冒険心に満ちていた。

今年は、それ以外にも海王星、天王星の調査隊の発射も予定されており、一年を通しての大イベントであり、誰もが一番手に発射される冥王星探査調査船に注目していた。

宇宙船発射センターには見学用の建物があり、その建物には発射場に向かって幅が一キロメートル、高さが七十メートル以上ある観客席が備わっている。
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