佳き日に
大きな白い車。
中では雪がアイマスクをして眠っていて、琴は音楽を聞いているようだ。
よくよく見ればこの車は新品という訳ではなさそうだが、手入れがよく行き届いている。
大事にされていたのだろう。
これからこの車を壊してしまうのかと思うと今はコンサートに行っているあの女性にごめんなさいという気持ちが湧いてくる。
「終わったか?」
車に入るなり雪がそう聞いてきた。
アイマスクを持ち上げた下にある目は少し眠たげだ。
「一通りはやっておきました。30分からでいいんですか?」
「あぁ、大体そのくらいだろ。」
いささかボーッとした声で雪はそう言う。
本当に分かっているのだろうか。
「この車って誰の?」
イヤホンを外さず琴が聞いてくる。
「女だ。一般人の。」
めんどくさそうな返答をする雪。
ちょうどさっき気になっていた内容だったので、閏も口を挟む。
「雪先輩。」
「何だ?」
「僕らの計画では、この車は最終的にどうなるんでしたっけ?」
「スーパーから出てくる柳琥珀。そしてそこで駐車場から道路に出るとき、梔子が柳琥珀を轢き殺そうとする。」
「その前に、俺らの車が梔子の車に衝突。ここで梔子が死んでくれるとすげー助かる。」
とても自然に琴も会話に入ってきていた。