佳き日に

[2]


窓の外から笑い声が聞こえた。

女の子数人の声。

鉛丹はなんとはなしに窓に身を乗り出し、声の元へ目を向ける。
部活帰りなのか、ジャージ姿の女子中学生だ。

もう秋も深まり、かなり肌寒い季節になったというのに、彼女たちの周りだけまだ夏のような、そんな爽やかな空気だった。
青春だな、と鉛丹は思った。

「陸上部ですかね?」

気付くと横から桔梗が顔を出していた。
いつのまに。
鉛丹は目を見開いた。

「なんでそんなこと分かるんだよ。」

「別に理由はないですよ。なんとなくです、なんとなく。」

桔梗はボーッと中学生を見ながらそう言った。

気が緩んでいるのか、いつもより少し雰囲気がダルっとしている。

「変な感じです。」

「風邪か?」

「違います。」

風が吹いて、何枚かの葉が空中を舞う。

落ち葉って、踏むの楽しいよな。
踏んだ瞬間のあのクシャ、という軽快な音を鉛丹は思い出した。

「あの女の子たち、僕らと同じくらいの年なんだなって思ったら、すごく変な感じがしたんです。」

ぼんやりと言った桔梗に、鉛丹もぼんやりと返した。

「確かに。」

「兄さん、サッカーっぽいです。」

「部活の話か?」

「はい。」

確かに野球よりはサッカーを観る方が好きだ。
だが、スポーツなんて一つもやったことがない。

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