佳き日に

[7]


ドンガッ!「ぐぇっ。」と、なんとも耳障りな音が隣の部屋から聞こえた。

琴は顔をしかめてイヤホンを耳から外すと立ち上がり音のした部屋へと歩いていく。


「何してんだし、お前。」

隣の部屋に入った瞬間、ウィーンと動き続けるランニングマシーンの横に琥珀が倒れている光景だった。
ゼエゼエと息は荒く、汗は大量に吹き出しかなり苦しそうだ。


「琴!無理!もう無理死ぬ!」

ガッと倒れた状態で顔だけ持ち上げ必死の形相で琥珀は琴にそう叫んだ。

靴ひもがほどけているところから察するに、ひもを踏んで転んだのだろう。

「てかお前雪と閏には敬語なのに俺には呼び捨てで敬語なしってどーいうことだし。」

「琴に敬語使うとか生理的に無理。」

ほぼ反射的に琴はスパァンと琥珀の頭をはたいた。
「ぐぇっ。」とさっきも聞いたような声で琥珀が呻く。

ぎゃーぎゃー文句を言う琥珀を無視して琴はランニングマシーンを一旦停止する。

「はぁ!?お前まだ10kmも走ってねぇの!?」

表示された走行距離を見て琴は思わずそう叫ぶ。
ランニングマシーンの動くスピードがやけに遅いな、とは思ったが。

「私運動苦手なんだってば!」

「それにしたって一時間かけて10kmも走れないとかひどすぎるし!」


琥珀と琴がそうやってぎゃーぎゃーと騒いでいると、ガチャッとドアノブを回す音がした。



「騒がしいです。二人とも何してるんですか?」



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