佳き日に
男の足が止まったのはカレンダーの前。
男はカレンダーを見ると茜の目の前でそこに取り付けてある紙をビリッと取った。
そこには家族の予定の紙とかを貼っておいたはず、と茜はぼんやりと思う。
男は引き剥がした紙を茜の目の前に突き出す。
「これは一体、何だ?」
それは、メモだった。
紺色のインクで書かれた、伝言のような。
どうしてこれがカレンダーに貼ってあったのか、誰から受け取ったものなのかは分からないが、茜は雷鳴に打たれたかのような衝撃を感じた。
『仕事で一ヶ月近くこの町を離れることになりました。文化祭には行きます。絶対に。雨』
そう書かれているこのメモは、何か大切なものだ、と茜は確信した。
根拠もないが、ここ一ヶ月の違和感の正体はこれだ、という絶対的な思いが何故かあった。