佳き日に
もう砂場に幼稚園児はいない。
というか公園は閑散としていて琴以外人はいないようだ。
小腹が空いたし、なにか買ってくるかと腰を上げたとき、聞き慣れた声がした。
ビクッと慌ててベンチの後ろに隠れる。
「えー公園かよ。」
「しょうがないじゃんお金持ってないんだから!てか鉛丹人のこと呼び出しておいてなんでお金持ってないの!?」
「奢ってもらうつもりだったんだよ。」
「どんだけ図々しいの!?」
騒がしい男女の声。
琴はそっと顔を出し声の主を確認する。
そこにいたのは鉛丹と琥珀だった。
あの二人は仲が良かったのか。
というか、敵なんだから危ねーし、そう思って琴は手にナイフを忍ばせる。
どうしてあんな状況になったのかは知らないが、今琥珀を殺されるとまずい。
琥珀は鉛丹と桔梗のスパイという風にも見えるが、不思議にそれはないな、と思った。
二人の間に一定の距離が空いているのを見るに、琥珀も一応警戒はしているのだろう。
「それで、頼みって何?」
少しぎこちなく琥珀が話しかければ、鉛丹がゆっくり語り始めた。
琴も耳をすませて話を聞いた。